Lovableとは?自然文からWebアプリを作るスウェーデンのAI開発基盤
社内ツールや試作品を作りたい企画・業務担当者は、開発チームの順番待ちで構想が止まりがちです。スウェーデンのLovableは、作りたいものを自然文で伝えると、画面からデータベースまで含むWebアプリのコードをAIが生成する開発基盤を提供しています。
社内ツールや試作品を作りたい企画・業務担当者は、開発チームの順番待ちで構想が止まりがちです。 Lovableは公式発表で、エンジニアリングの順番待ちに企画を抱えたマーケターや、古いソフトで社内ツールを回す業務チームを、利用者として挙げています。 スウェーデンのLovableは、作りたいものを自然文で伝えると、画面からデータベースまで含むWebアプリのコードをAIが生成する開発基盤を提供しています。 公式ドキュメントでは、生成されるアプリにフロントエンド、バックエンド、データベース、認証、外部連携が含まれ、すべて編集できるコードで作られると説明しています。
国:スウェーデン。 情報確認日:2026年11月1日。 同社は公式ブログで、ストックホルムを拠点とする企業として紹介されています。
Lovableを使う人と作れるもの
公式ドキュメントでは、利用者としてプロダクトマネージャー、デザイナー、営業・マーケティング・財務・人事などの業務チーム、開発者、制作会社、創業者、学生を挙げています。 同じページでは、業務チームが表計算ソフトや席数課金のソフトを自前のアプリに置き換える使い方を紹介しています。 作れるものとしては、試作品、SaaSや業務アプリ、社内ツール、ダッシュボード、Webサイトなどを挙げています。
対象はWebアプリです。 公式FAQでは、ネイティブアプリやReact Nativeのプロジェクトは生成しないと説明しています。 同じFAQによると、2026年5月13日以降に作られた新規アプリ(Enterpriseのワークスペースでは2026年6月22日以降)はTanStack Startを使います。 データベースは、内蔵バックエンドかSupabaseを通じたPostgreSQLです。
AIの入力と出力、人が確認する工程
Lovableでは、プロジェクトのチャットに書いた依頼がAIへの入力になります。 公式ドキュメントによると、チャットにはChat、Plan、Buildの3つのモードがあります。
| モード | AIが受け取るもの | AIが出すもの | 人の作業 |
|---|---|---|---|
| Chat | アプリや変更案についての相談 | 会話での回答(計画やコード変更はなし) | 何を作るかを決める |
| Plan | 作りたい変更の説明、プロジェクトのファイルやログ | 確認の質問と、実装の計画 | 計画を確認し、編集し、承認する |
| Build | 実装の依頼とコードベース | 複数ファイルにまたがるコード変更と要約 | 差分と結果を確認し、必要なら止める・取り消す |
Plan modeの説明では、Lovableがファイルやログを調べたうえで計画を書き、利用者が承認したものだけを実装すると説明しています。 同じページでは、Plan modeがコードを変更しないことも明記しています。
Build modeの説明では、Lovableが依頼の意図を把握し、コードベースを調べ、複数のファイルに変更を加え、開発中に出た問題を解決すると説明しています。 変更はプロジェクトに直接反映され、ファイルの差分と要約で示されます。 作業中は、実行中の手順、変更中のファイル、使っているツールがチャットに表示されます。 利用者は停止ボタンで作業を止められ、取り消し操作で直前の変更を元に戻せます。 同じページでは、ブラウザテスト、フロントエンドのテスト、エッジ関数の検証といった確認ツールをLovableが使えると説明しています。 ただし、これらの多くは利用者が求めたときだけ実行されます。
使われるAIモデルについて、公式FAQでは、Lovableが最新の主要モデルから選んで自動で更新するため、利用者は開発用のモデルを指定できないと説明しています。
例えば営業チームが顧客一覧の表計算ファイルを管理画面に置き換える場合、AIが作った画面の見た目だけでなく、誰がどのデータを見られるかも確認する必要があります。 gennaiの見立てでは、Plan modeで計画を確かめてからBuild modeに進み、差分の中で権限まわりを重点的に見ると、手戻りを減らしやすくなります。
セキュリティ確認とAIによる修正
公式ドキュメントによると、LovableにはQuick scanとDeep scanという2種類のセキュリティ検査があります。 Quick scanは公開のたびに自動で実行され、データベースのアクセス規則や、npmの依存パッケージにある既知の脆弱性などを調べます。 Deep scanはアプリのコード全体を対象に、アクセス制御、認証、入力の扱い、秘密情報の漏れ、決済などに関わる問題を報告します。 検出結果はCritical、Warning、Infoに分類されます。
同じページでは、自動修正を有効にすると、Quick scanのCriticalなデータベースの問題や依存パッケージの問題の一部を、Lovableが依頼への対応と同時に直そうとすると説明しています。 Deep scanの検出結果には自動修正を適用しません。 Lovable自身も、これらの検査は徹底したセキュリティレビューの代わりにはならず、用途に合う安全性の確保は利用者の責任だとしています。
エンジニアへの引き継ぎとコードの所有
Git同期の説明によると、LovableのプロジェクトはGitHub、GitLab、Bitbucketのリポジトリと双方向に同期できます。 Lovableでの変更はリポジトリにコミットされ、同期中のブランチへのプッシュはLovableのプロジェクトに戻ります。 公式ドキュメントでは、エンジニアリングチームがGitHubなどを通じて生成コードをレビュー、拡張、保守する使い方を挙げています。 公式FAQでは、Lovableで作ったアプリやコードは利用者のものであり、オープンソースライセンスなど第三者の権利には従うと説明しています。
既存のコードを開発者が直接編集する道具と比べる場合は、Cursorの紹介記事も参考になります。
提供条件と料金の考え方
公式ドキュメントによると、Lovableは無料で始められ、料金はプロジェクト数や席数ではなくクレジットで決まります。 Build modeの説明では、Build modeの料金は作業量に応じた従量制で、実行前にクレジットの見積もりは表示されないとしています。 1回の依頼が設定した水準(初期値は20クレジット)を超えると、続けるかどうかを確認する機能があり、これはベータ版です。 Plan modeのメッセージは1クレジットに、調査で使うサブエージェントの費用が加わります。
公式ドキュメントでは、SOC 2 Type IIとISO 27001:2022を取得していると案内しています。 EU推論の説明によると、Enterpriseプランでは、ワークスペースのAIモデルへのリクエストをEU域内のエンドポイントに限定する設定があります。
AIの学習へのデータ利用について、公式FAQでは、2026年9月9日以降、FreeとProプランの顧客データ(プロンプト、コード、生成物など)をAIモデルの学習に使う場合があると説明しています。 FreeとProではアカウント設定で除外でき、BusinessとEnterpriseのワークスペースのデータは初期設定で学習から除外されます。 同じFAQでは、標準の利用規約のもとでは、医療情報、カード情報、公的な身分証番号などを、Lovableで作るアプリも含めて扱えないと説明しています。 規制対象のデータを扱う場合は、作る前に営業へ相談するよう案内しています。
会社概要と資金調達、買収
Lovableは公式ブログで、共同創業者のFabian氏とAnton氏が率いる企業として紹介されています。 Fabian Hedin氏は、同社の公式発表でCTO兼共同創業者と紹介されています。
同社は2025年12月18日の公式発表で、シリーズBとして3億3,000万ドルを評価額66億ドルで調達したと発表しています。 主導したのはCapitalGと、Menlo VenturesのAnthologyファンドです。 これは資金調達時点の金額と評価額であり、売上や現在の企業価値を示すものではありません。
Lovableは2025年11月25日の公式発表で、クラウド事業者のMolnettを買収したと発表しています。 同発表では、Molnettを、安全で主権性の高いクラウド基盤の技術を開発してきた会社として紹介しています。 発表の題名では、この買収でLovableのプラットフォームチームを拡充するとしています。 確認した資料では、買収額、対価の種類、買収完了日を確認できません。 Lovable自身が他社に買収されたことは、確認した資料には記載がありません。
日本で使う前に確かめること
公式FAQによると、操作画面の言語に日本語を選べますが、すべての部分が翻訳されているわけではありません。 gennaiの見立てでは、画面の言語とは別に、日本語で書いた依頼がどこまで意図どおりのアプリになるかを、実際の業務の題材で試す必要があります。
効果を測るときは、gennaiとしては次の3つを分けて記録することを勧めます。 1つ目は、依頼から動く試作品ができるまでの時間です。 2つ目は、生成されたコードをエンジニアが確認し、権限やデータの扱いを直すのにかかる時間です。 3つ目は、1回の変更ごとに使ったクレジットです。 試作が速くなっても、本番に出す前の確認と修正に時間がかかれば、全体の負担は思ったほど減らない可能性があります。
日本の企業が顧客情報を扱うアプリを作る場合は、学習へのデータ利用の除外設定、データの保存先、標準規約で扱えないデータの種類を、導入前に確かめておくと判断しやすくなります。 Lovableを評価する出発点は、社内で順番待ちになっている小さなツールや試作品を1つ選び、試作の速さと確認の手間を両方測ることです。