Viz.aiとは?脳卒中の疑いをCT画像から検出し専門医へ知らせる米国の医療AI

脳卒中を受け入れる病院では、CT撮影から専門医へ連絡が届くまでの時間が治療の早さに関わります。米国のViz.aiは、脳のCT血管造影画像から主幹動脈閉塞の疑いをAIで検出し、通常の読影と並行して専門医へ通知する仕組みを提供しています。

脳卒中の患者を受け入れる病院では、CT画像を撮ってから治療を担う専門医へ連絡が届くまでの時間が、治療を始める早さに関わります。 公式発表では、専門医へ早く知らせることで治療までの時間が短くなる可能性があるという見方を紹介しています。 米国のViz.aiは、脳のCT血管造影画像から太い血管が詰まる「主幹動脈閉塞」の疑いをAIで見つけ、通常の読影と並行して脳血管の専門医へ通知する製品を提供しています。

国:米国。 情報確認日:2026年11月1日。 同社の公式発表はサンフランシスコ発で、同社は自社のプラットフォームが米国の2,000病院で使われていると説明しています。

脳卒中の診療で連絡の遅れが問題になる理由

2018年の公式発表では、脳卒中は緊急の治療が必要な一刻を争う病気で、脳への血流が途絶えると毎分200万個の脳細胞が失われると説明しています。 同じ発表で発言を引用された専門医は、主幹動脈閉塞を早く見つけ、血管内で血栓を取り除く治療ができる病院へ患者を移すことを最優先の課題に挙げています。 製品ページでは、一次脳卒中センターと包括的脳卒中センターの間で、画像の確認、治療方針の相談、転院の判断を進める使い方を案内しています。

同社の紹介ページでは、脳神経外科医のChris Mansi氏が、手術は成功したのに治療が遅すぎたために患者を亡くした経験を創業のきっかけとして紹介しています。 Mansi氏は機械学習の研究者David Golan氏と、2016年にViz.aiを創業しました。

Viz LVOでAIが入力し出力するもの

使用目的のページによると、Viz LVOは急性期に撮影された脳のCT血管造影画像を解析します。 主幹動脈閉塞の疑いを見つけると、脳血管の専門医へ通知を送り、その画像を確認するよう促します。 解析の対象は、内頸動脈の終末部と中大脳動脈のM1部です。 2018年の公式発表では、このシステムが深層学習で開発されたと説明しています。 同じ発表によると、システムは病院のCTスキャナーにつながり、疑いのある画像を専門医のスマートフォンへ直接送ります。

工程 AIの役割 人の作業
撮影後 CT血管造影画像を解析し、主幹動脈閉塞の疑いを検出する 通常の読影は並行して進める
通知 脳血管の専門医へ通知し、画像の確認を促す 専門医がアプリで画像を見る
判断 通知以上の診断は行わない 圧縮されていない画像を診断用ビューアで確認し、患者を診察して担当医と相談する

人が確認する工程と医療機器としての位置付け

使用目的のページでは、Viz LVOを「通知のみ」を目的とし、通常の診療の流れと並行して使う道具と位置付けています。 疑いのある所見の検出は、通知以外の診断には使えないと明記されています。 モバイルアプリで見る画像は圧縮されており、参考情報として扱われます。 通知を受けた医師には、圧縮されていない画像を診断用ビューアで確認し、患者を診察して担当医と話し合ったうえで治療を判断する責任があります。 Viz LVOが扱うのは画像データだけで、患者の診察の代わりにしたり、診断の決定や確定に使ったりしてはならないとされています。

2018年の公式発表によると、米国食品医薬品局(FDA)は、CT血管造影画像から主幹動脈閉塞を見つける「コンピューター支援トリアージ・通知プラットフォーム」として、De Novo申請を認めました。 同じ発表では、2018年1月に欧州でCEマークを取得したことにも触れています。 同社は同じ発表で、300人の患者を対象にした性能試験の結果として、AUCが0.91、感度と特異度がいずれも90%、撮影から通知までの時間の中央値が6分未満だったと説明しています。 この試験では、95%を超える症例で自動通知のほうが専門医へ早く届き、短縮できた時間は6分から206分、平均52分だったとしています。 これらは2018年に同社が発表した承認時点の数値です。 gennaiの見立てでは、自院の撮影条件や連絡体制で同じ結果になるとは限らず、独自に確かめる必要があります。

出血の検出と、画像以外への広がり

使用目的のページでは、Viz ICHについて、造影剤を使わない頭部CT画像を解析し、頭蓋内出血の疑いを脳血管または脳神経外科の専門医へ通知すると説明しています。 Viz ICHもViz LVOと同じく通知のみを目的とし、診断の決定や確定には使わないとされています。 出血領域の製品ページでは、高吸収域や正中偏位、側脳室を数値で示すViz ICH+と、急性・慢性の硬膜下血腫の疑いを見つけるViz SDHも紹介しています。

神経領域の製品ページでは、電子カルテの患者情報を自動で要約するViz Assistを案内しています。 同じページでは、要約に含まれる情報を元の記録までたどれると説明しています。 2026年7月の公式発表では、製品の対象が神経、放射線、循環器、腫瘍、呼吸器などの領域に広がり、AIを使った診療の流れ(同社の呼び方は「AIケアパスウェイ」)が50を超えたとしています。 同じ発表では、医療機関が自然言語で独自のAIケアパスウェイを作れるViz Agent Studioも紹介しています。 同社は同じ発表で、FDAのクリアランスを13件保有しているとしています。

画像から緊急性の高い所見を見つけ、担当する医師へ知らせる仕組みは、Aidocとも比較できます。 gennaiの見立てでは、Viz.aiは専門医のスマートフォンへの通知から病院間の転院の相談までを一つの流れとして示しているため、比較では連絡と転院の工程まで含めて見る必要があります。

日本の医療機関から見る導入条件

公式発表で確認できたViz LVOの承認・認証は、米国のFDAと欧州のCEマークです。 今回確認した公式資料では、日本での医療機器としての承認や提供は確認できませんでした。 gennaiの見立てでは、日本で検討する場合、国内での承認の有無、国内で使っているCT装置や画像保存システムとつなげられるか、通知を受ける専門医の当番体制を確かめる必要があります。 患者の画像をスマートフォンで扱うため、院外へ画像を送るときの院内規程と、データの保存先も確認すべき点です。

評価の出発点は、CTの撮影から専門医が画像を見るまでの時間を、現在の連絡方法と比べることです。 あわせて、通知のうち専門医の確認後に治療や転院につながった割合と、誤った通知や見逃しへの対応を記録すると、自院に合うかを判断しやすくなります。